円形脱毛症とは
円形脱毛症は、境界がはっきりした円形の脱毛斑が生じる自己免疫性の脱毛疾患です。
毛根(毛包)に対する免疫反応が起き、毛が抜けてしまうことで発症します。
単発の小さな脱毛斑から、多数に及ぶ広範な脱毛まで、症状はさまざまです。
子どもから大人まで幅広い年齢でみられ、再発を繰り返すこともあります。
症状
- 突然、毛が抜ける
- 1か所〜複数か所に生じる
- 痛みやかゆみはないことが多い
- 重症例では頭部全体の脱毛、体毛にも及ぶことがある
脱毛部分の皮膚はなめらかで、炎症やかさつきが目立たないのが特徴です。
検査・診断について
当院では、以下のようにして診断を進めます。
- 視診・触診で脱毛斑の形状・広がりを確認します
- 必要に応じてダーモスコピー(拡大鏡)による毛根・毛包の観察を行います。
- 血液検査による甲状腺機能、膠原病、梅毒、アトピー素因の検査を行う場合があります
- 脱毛原因が他の疾患・脱毛タイプ(頭部白癬、牽引性脱毛、休止期脱毛など)でないかを鑑別します。
治療について
脱毛範囲やタイプ、進行度、患者様の年齢・基礎疾患の有無などを総合的に判断したうえで治療方針を立てています。
外用・注射治療
- ステロイド外用薬:最も基本となる治療の一つです。
- ステロイド局所注射:脱毛範囲が比較的限定的な「単発型・多発型」成人に対して行うことがあります。
局所免疫療法・光線療法など
- 局所免疫療法(かぶれ反応を誘発して免疫バランスを変える方法)や、エキシマライト(紫外線療法)などを併用するケースがあります(当院ではともに取り扱いはありません)。
- 進行・範囲が広いケースでは、点滴・内服・入院による治療が検討されるため、紹介となることもあります。
早期治療の重要性
特に脱毛斑が広がったり、複数になったりして「多発型」「全頭型」「汎発型」に移行するほど、治療期間が長くなり、治りにくくなる傾向があります。症状を感じたらできるだけ早く受診することが大切です。
内服/外用による新しい治療選択肢(JAK阻害薬)
円形脱毛症には、免疫の過剰な反応を抑える目的で、JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬という新しい作用機序の薬剤が使用されるようになっています。従来の治療で十分な効果が得られなかった方に対して、選択肢が広がっています。
オルミエント®(バリシチニブ・内服薬)
- 自己免疫反応を抑えることで脱毛症状の改善を図る内服薬(JAK1/JAK2阻害薬)です
- 国内で重症の円形脱毛症に保険適用となっています
- 効果発現までに一定期間を要するため、定期的な通院・経過観察が必要です
- 感染症リスク上昇など副作用の管理が重要なため、血液検査などのモニタリングを行いながら治療を進めます
- 円形脱毛症の場合は、成人以上に適応があります
リットフーロ®(リトレシチニブ・内服薬)
- 自己免疫反応を抑えることで脱毛症状の改善を図る内服薬(JAK3/TEC阻害薬)です
- 国内で重症の円形脱毛症に保険適用となっています
- 効果発現までに一定期間を要するため、定期的な通院・経過観察が必要です
- 感染症リスク上昇など副作用の管理が重要なため、血液検査などのモニタリングを行いながら治療を進めます
- 12歳以上に適応があります
- JAK阻害薬は、患者様の病状・既往歴・安全性を総合的に判断したうえで、適応となる方にご提案します。
- 費用・治療スケジュールは個々に異なりますので、気になる方はご相談ください。


