当日受診OK・予約なしOK・待ち時間少
今すぐ診察可能です

睡眠障害(不眠症)とは?

睡眠障害(不眠症)のイメージ写真

「眠れない」はこころや体からのサインかもしれません

「布団に入っても1時間以上眠れない」
「夜中に何度も目が覚める」
「朝早く目が覚めてしまう」
「十分寝たはずなのに疲れが取れない」

このような睡眠の問題が続き、日中の眠気、疲労感、集中力低下、気分の落ち込みなど生活に支障が出ている状態を睡眠障害(不眠症)といいます。
一時的な睡眠不足は誰にでも起こります。
しかし、不眠が長く続くと、仕事のパフォーマンス低下、事故のリスク増加、生活の質(QOL)の低下につながります。
また、不眠は単なる「睡眠の問題」ではありません。
うつ病、不安症、適応障害、ADHDなどの発達特性による生活リズムの乱れ、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群など、こころや身体の病気が背景に隠れていることがあります。
睡眠の悩みが2週間以上続く場合は、一人で我慢せずご相談ください。

睡眠障害(不眠症)の4つのタイプ

1. 入眠障害(寝つけない)

「布団に入っても考え事が止まらない」 「眠ろうと思うほど眠れない」 という状態です。 ストレス、不安、生活リズムの乱れ、スマートフォンによる光刺激などが関係することがあります。

2. 中途覚醒(夜中に目が覚める)

「夜中に2~3回目が覚めて、その後眠れない」 「一度起きると眠れない」 という状態です。 加齢による睡眠構造の変化だけでなく、ストレス、うつ病、睡眠時無呼吸症候群などが原因になることがあります。

3.早朝覚醒(朝早く目が覚める)

「予定より2~3時間早く起きてしまう」 「早朝に目が覚めてその後眠れない」 という状態です。 加齢でみられることもありますが、うつ病の初期症状として現れることもあります。

4.熟眠障害(寝た気がしない)

「睡眠時間は十分なのに、朝から疲れている、頭がすっきりしない、日中に眠気が強い」 という状態です。 睡眠の量だけではなく「睡眠の質」が低下している可能性があります。 原因としては、夜間覚醒、ストレス、睡眠環境、睡眠時無呼吸症候群、気分障害・不安症などが関係します。

睡眠障害(不眠症)の主な原因

睡眠障害(不眠症)は一つの原因だけで起こるわけではありません。

1. ストレスや精神的な原因

仕事、人間関係、将来への不安などによって脳が興奮状態になると、眠ろうとしても眠れなくなります。 不眠はうつ病や不安症の初期症状として現れることもあり、睡眠の悪化は精神症状の再発リスクとも関連しています。

2. 生活習慣の問題

スマートフォン

寝る前のスマートフォンは、ブルーライトによるメラトニン分泌の抑制、SNSや動画による脳の覚醒、通知による睡眠中断などにより睡眠の質を低下させます。 理想的には就寝1時間前からスマートフォン使用を控えることが推奨されます。

【参考文献】
Digital Ecosystems, Children, and Adolescents: Technical Report.
Pediatrics. 2026. Munzer T, Milkovich LM, Madigan S, et al.NewGuideline

カフェイン

コーヒー、緑茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインは、眠気を起こすアデノシンの働きを抑えます。
研究では、カフェイン摂取により睡眠時間の短縮、寝つくまでの時間の延長、深い睡眠の減少などが報告されています。
また、カフェインは「量」だけでなく「タイミング」が重要です。
不眠のある方は、就寝の約8時間前以降のカフェイン摂取を控えることが一つの目安になります。
複数のメタ解析では、カフェイン摂取により以下のような睡眠への影響が報告されています。
「総睡眠時間:34〜45分短縮 ・睡眠効率:4.7〜7%低下 ・入眠潜時:8〜9分延長 ・中途覚醒時間:約12分増加 ・深睡眠(徐波睡眠):約11分減少 ・浅い睡眠(N1):増加傾向」
また、一部の研究では、習慣的にカフェインを摂取している場合でも、就寝の8時間前以降の摂取は睡眠に影響し得ることが示されています。

【参考文献】
Gardiner et al., 2023(Sleep Medicine Reviews)
Weibel et al., 2021(Scientific Reports)

昼寝

昼寝は悪いものではありません。
13〜15時頃に20〜30分程度の短い昼寝は、日中の眠気や作業効率の改善に役立ちます。
一方、夕方以降の長時間の昼寝は夜間睡眠を妨げる可能性があります。
夜の寝つきが悪い、朝起きられない、昼寝の後のだるさが強いときは昼寝を控えましょう。
昼寝は上手に使えば、日中のパフォーマンスを高め、事故やミスの予防にも役立ちます。
ご自身の生活リズムに合わせて、無理のない範囲で取り入れてみてください。

睡眠障害(不眠症)の治療

1. 睡眠習慣の改善

まずは生活リズムを整えることが治療の基本です。

  • 毎日同じ時間に起きる
  • 朝に太陽の光を浴びる
  • 適度な運動を行う
  • 寝る前のスマートフォンを控える
  • 夕方以降のカフェインや飲酒を控える
  • 長時間の昼寝を避ける

2. 認知行動療法(CBT-I)など心理的アプローチ

不眠症では、「眠れないことへの不安」や「睡眠への過度なこだわり」が症状を長引かせることがあります。
そのような場合には、睡眠に関する考え方や行動を見直す認知行動療法(CBT-I)などの心理的アプローチが有効とされています。

3. 薬物療法

生活改善だけで十分な改善が得られない場合には、睡眠薬を使用します。
症状に合わせて、寝つきを改善する薬、夜中に目が覚めることを減らす薬、早朝覚醒に効果が期待できる薬などを選択します。
また、うつ病や不安症が背景にある場合は、それらの治療を行うことが睡眠改善につながります。

このような場合は精神科・心療内科へご相談ください

  • 2週間以上眠れない状態が続く
  • 日中の眠気や集中力低下がある
  • 不安や気分の落ち込みを伴う
  • 睡眠薬を飲んでも改善しない
  • 薬を減らしたい・やめたい
  • 睡眠について専門的に相談したい

睡眠は、こころと身体の健康を支える大切な基盤です。
「眠れないくらいで受診していいのだろうか」と我慢される方も多くいらっしゃいますが、睡眠障害(不眠症)は治療できる症状です。

当院では、睡眠の問題だけでなく、その背景にあるストレス、生活習慣、こころの不調、身体疾患の可能性も含めて総合的に評価します。
女性医師による精神科診療や、てんかん専門医による診療体制を整えており、睡眠の悩みと併せて、不安・抑うつ症状、女性特有のお悩み、てんかんなどの神経疾患についてもご相談いただけます。
また、睡眠の問題は皮膚疾患とも関連することがあります。かゆみによる不眠や、睡眠不足による皮膚症状の悪化など、皮膚科専門医と連携しながら総合的な診療を行うことが可能です。
カウンセリングをご希望の方には、高田馬場こころのクリニックと連携し、臨床心理士・公認心理師による心理支援をご案内しております。
睡眠のお悩みだけでなく、こころと身体の両面から原因を探り、一人ひとりに合った治療をご提案いたします。

FAQ

寝た気がしないの正体は?

「寝ているのに休んだ感じがしない」「朝から疲れている」という状態は、睡眠休養感の低下と呼ばれます。これは睡眠の量だけでなく、質が十分に確保できていないときに起こります。

なぜ「寝た気がしない」と感じるのか

以下のような要因が重なって起こります。

  • 夜中に目が覚めやすい
  • 日中の気分の落ち込み・疲労感
  • 爽快感の低下
  • 睡眠時間が短すぎる、または逆に長く布団にいすぎる
  • 日中に光を浴びない、夜に強い光を浴びる
  • 寝室が暑い・寒い、騒音がある
  • 運動不足、就寝前の食事やストレス
  • カフェイン・喫煙・飲酒の影響

生活の中でできる改善ポイント

  • 睡眠時間を6時間以上確保する
  • 布団で過ごす時間を必要以上に長くしない
  • 日中は明るい光を浴びる、夜は光を控える
  • 寝室の温度を快適に保つ
  • 適度な運動を取り入れる
  • 夕方以降のカフェイン・飲酒を控える
  • 就寝前はリラックスする時間をつくる

病気が隠れていることも

不眠症、睡眠時無呼吸症候群、睡眠不足症候群、気分障害・不安症、慢性疲労などでも睡眠休養感が低下します。
「寝た気がしない」状態が続くときは、原因を一つずつ確認しながら改善していくことが大切です。気になることがあれば、いつでもご相談ください。

【参考文献】
内海智博,栗山健一:寝てはいるけれど熟眠感(睡眠休養感)がない場合はどうしたらよいでしょうか?精神医学 67巻5号,558-561,2025.

睡眠とメンタルヘルスは関係している?

睡眠とこころの健康は非常に密接に関係しており、互いに影響し合っています。
特に、うつ病と睡眠障害(不眠症)には強い関連があります。
医学調査では、うつ病を経験した方の約60%に不眠症状がみられることが報告されています。また、睡眠障害(不眠症)がある方では、その後にうつ病を発症するリスクが約2.1倍高まるという研究結果もあり、睡眠の問題は単なる「夜の悩み」ではなく、心の健康にも大きく影響します。
さらに、うつ病の症状が改善した後も、不眠だけが残ることがあります。
近年では、うつ病に伴う不眠は単なる症状ではなく、独立して評価・治療することが重要と考えられています。
また、睡眠に影響する病気はうつ病だけではありません。

  • 睡眠時無呼吸症候群(OSA):夜間の低酸素状態により、日中の眠気や疲労感、気分の落ち込みにつながることがあります。
  • むずむず脚症候群(RLS):足の不快感によって寝つきが悪くなったり、夜間に目が覚めたりすることで、日中の集中力低下や気分の不調につながることがあります。
  • 概日リズム睡眠障害:夜更かしや夜勤、不規則な生活、夜間の強い光などによって体内時計が乱れ、睡眠や気分に影響することがあります。

睡眠の問題に早めに気づき、適切に対処することは、精神疾患の再発予防や症状の安定につながります。
治療では、睡眠習慣の見直し、必要に応じた薬物療法、睡眠に関する考え方や行動を調整する認知行動療法(CBT-I)など、さまざまな方法が用いられます。

睡眠は、こころの健康を支える土台です。「眠れない」「寝ても疲れが取れない」「睡眠のせいで気分が安定しない」と感じる場合は、睡眠だけではなく、その背景にあるストレスや身体・こころの状態を含めて評価することが大切です。

【参考文献】 三島和夫. Q54. うつ病の睡眠障害についてその治療も含めて教えてください. 精神科治療学 第40巻増刊号, 2025:160-161.
Blom K, Forsell E, Hellberg M, Svanborg C, Jernelöv S, Kaldo V. Psychological Treatment of Comorbid Insomnia and Depression: A Double-Blind Randomized

睡眠薬に依存性はある?

「睡眠薬は怖い」
「一度飲んだらやめられないのでは」
という不安を持つ方は少なくありません。
睡眠障害(不眠症)の治療で広く用いられてきたベンゾジアゼピン系薬は、即効性がある一方で、「身体依存」のリスクに注意が必要です。
反復使用により20〜50%の割合で耐性や生理学的依存が生じるとされ、急な中断は離脱症状(振戦やせん妄など)を招く恐れがあります。
ここで重要なのは、生物学的な現象である「身体依存」と、コントロールを失う「物質使用障害」を区別することです。
統計では、医師の指示通り服用している患者のうち、使用障害に至るケースはわずか1.5%程度とされています。
つまり、正しくリスクを管理すれば、過度に恐れる必要はありません。
近年の臨床では、副作用や依存のリスクが低いオレキシン受容体拮抗薬やメラトニン受容体作動薬への切り替えが推奨されています。
また、薬物療法はあくまで補助的な役割であり、生活習慣の改善や認知行動療法(CBT-I)を第一選択とすることが推奨されています。
睡眠薬は「漫然と使い続けない」ことが鍵となります。
特にベンゾジアゼピン系薬は原則4週間以内の短期使用に留め、長期服用からの中止には計画的な漸減スケジュールが不可欠です。
まずは主治医と相談し、依存のリスクを最小限に抑えた治療計画を立てることが健やかな眠りへの近道となります。
当院では、睡眠薬だけに頼るのではなく、生活習慣の改善や原因への治療を組み合わせながら、将来的な減薬も見据えた治療を行います。

【参考文献】
Management of Insomnia. Morin CM, Buysse DJ. The New England Journal of Medicine. 2024;391(3):247-258.
doi:10.1056/NEJMcp2305655.
The Joint Clinical Practice Guideline on Benzodiazepine Tapering: Considerations when Benzodiazepine Risks Outweigh Benefits. Emily Brunner, Chwen-Yuen A. Chen, Tracy Klein, et al. American College of Medical Toxicology (2024).
The Joint Clinical Practice Guideline on Benzodiazepine Tapering: Considerations When Benzodiazepine Risks Outweigh Benefits. Emily Brunner MD DFASAM, Chwen-Yuen A. Chen MD FACP FASAM, Tracy Klein PhD FNP ARNP FAANP FRE FAAN, et al. American Society of Addiction Medicine (2025).
The Management of Chronic Insomnia Disorder and Obstructive Sleep Apnea: Synopsis of the 2019 U.S. Department of Veterans Affairs and U.S. Department of Defense Clinical Practice Guidelines. Mysliwiec V, Martin JL, Ulmer CS, et al. Annals of Internal Medicine. 2020;172(5):325-336. doi:10.7326/M19-3575.
Treatment of Chronic Insomnia in Adults. Matheson EM, Brown BD, DeCastro AO. American Family Physician. 2024;109(2):154-160.
Long-Term Use of Benzodiazepines in Chronic Insomnia: A European Perspective. Soyka M, Wild I, Caulet B, et al. Frontiers in Psychiatry.
2023;14:1212028. doi:10.3389/fpsyt.2023.1212028.

睡眠薬・抗不安薬の長期服用と認知症は関係する?
「ベンゾジアゼピン系の睡眠薬や抗不安薬を長く飲むと、認知症になりやすい?」という不安の声をよく耳にします。
近年の研究では、これらの薬を数年以上の長期間、大量に服用し続けた場合、認知症の発症リスクが向上する可能性が指摘されています。
また、高齢期は薬の代謝が落ちるため、ふらつきや物忘れのような症状が出やすくなる側面もあります。
しかし、「怖いから」と自己判断で急に薬を中止すると、激しい不眠や不安などの離脱症状が起きて逆効果です。
当院では状態を見極め、安全に薬を減らすサポートを行っています。
減薬や変更を希望される方は、まずは主治医へご相談ください。
メラトニンって何?
「メラトニン」は、私たちの体の中で作られる眠りの合図のようなホルモンです。
主に脳の松果体という場所から分泌され、夜になって暗くなると増え、朝の光を浴びると減っていくため「暗闇のホルモン」とも呼ばれています。
メラトニンの大切な役割は、体内時計を整えることです。
「そろそろ眠る時間ですよ」と脳や体に知らせ、自然な眠気を引き起こします。
反対に、夜遅くまでスマートフォンや強い光を浴びると、メラトニンの分泌が抑えられ、寝つきが悪くなることがあります。
眠れない時は「睡眠薬を飲むしかない」と思いがちですが、まずは夜に強い光を避け、朝日を浴びるなど、メラトニンが働きやすい生活習慣を整えることも大切です。
最近では、メラトニンの働きを利用した「メラトニン作動薬」という睡眠薬も使われています。一般的な睡眠薬と異なり、脳を強制的に鎮静させるのではなく、体内時計を整えながら自然な眠りをサポートするのが特徴です。
「すぐに眠らせる薬」というより「睡眠リズムを整える薬」で、筋弛緩作用は少なく、依存や耐性形成のリスクも比較的低く、高齢者で問題となる転倒やせん妄のリスク軽減が期待できます
メラトベル®は小児の神経発達症(ASD・ADHDなど)に伴う入眠困難に対しても使用されています。
睡眠薬に不安がある方や、「できるだけ依存性の少ない薬から試したい」という方にとっては、選択肢の一つとなります。
どの薬が適しているかは不眠の原因や症状によって異なりますので、気になる方は主治医にご相談ください。

【参考文献】
Zia Ul Haq M, Mansoor J, Lima Dos Santos CC, et al. Melatonin for Blood Pressure Control in Adults. The Cochrane Database of Systematic Reviews. 2025;9:CD016159. doi:10.1002/14651858.CD016159.
Ahmad SB, Ali A, Bilal M, et al. Melatonin and Health: Insights of Melatonin Action, Biological Functions, and Associated Disorders. Cellular and Molecular Neurobiology. 2023;43(6):2437-2458. doi:10.1007/s10571-023-01324-w.
Megha KB, Arathi A, Shikha S, et al. Significance of Melatonin in the Regulation of Circadian Rhythms and Disease Management. Molecular Neurobiology. 2024;61(8):5541-5571. doi:10.1007/s12035-024-03915-0.
Pandi-Perumal SR, Srinivasan V, Maestroni GJ, et al. Melatonin: Nature's Most Versatile Biological Signal? The FEBS Journal. 2006;273(13):2813-38. doi:10.1111/j.1742-4658.2006.05322.x.
Brzezinski A. Melatonin in Humans. The New England Journal of Medicine. 1997;336(3):186-95. doi:10.1056/NEJM199701163360306. Hattori A, Suzuki N. Receptor-Mediated and Receptor-Independent Actions of Melatonin in Vertebrates. Zoological Science.
2024;41(1):105-116. doi:10.2108/zs230057.
Jia M, Luo A, Wei M, et al. Melatonin: Beyond Circadian Regulation - Exploring Its Diverse Physiological Roles and Therapeutic Potential. Sleep Medicine Reviews. 2025;82:102123. doi:10.1016/j.smrv.2025.102123.